賃貸業界は情報の開示、情報の非対称性の解消ということに遅れており、情報開示は弊社の使命の一つだと思っています。
情報の開示とはどういう意味か、管理会社に任せている大家さんを例に具体的に説明します。
管理会社が大家さんに対して「入居者とどんな話をしているか?」「募集活動をしっかりやっているのか?」などの管理情報を100%開示しているのかということです。実際は何もかも報告されているわけではなく、聞けば教えてくれる程度だと思います。それも、預けている資産(物件)をどのように管理運営しているのか、1から100まで知らされるわけではありません。また、本当にその報告通り行っているのか、エビデンスがあるわけでもありません。
大家さんを扱っている管理会社が情報を開示することは非常に難しいことで、きっと任せておけば大丈夫だろうという性善説のうえに成り立っています。
それらの情報の開示は今となってはそんなに難しいことではありません。しかし不動産業界はそこを開示しないからこそ成り立つ商売でもあります。では情報の開示によって賃貸不動産業界の未来はどのように変化していくのか?
貸主、管理会社、仲介会社、各ステークスホルダー事に考えてみます。
【貸主】 貸主である地主、大家(サブリースをしている会社)などは自分の資産やサービスを提供してリスクを負っている存在なので、この先もこの業界の中心に位置すると思います。ただ個人の方は自分で大家業(賃貸経営)をやっていくのは困難だ、面倒だ、という方も多くいます。そういう方はサブリース会社に委託したり、管理会社に委託したりしていくことが必要になります。貸主は管理会社との情報の共有という一つの課題がありますので、そこをどのようにリスク管理していくのかが重要にもなってきます。
【管理会社】 情報の開示をしていくと管理会社の立場が大きく変化するのだと思います。大家側について仕事をする立場なので、管理会社は大家に信頼してもらうべきだと思います。また信頼されるような仕事をすべきだと思います。しかし実際に大家に向けて100%の情報を開示しているでしょうか?おそらくしていません。空室をあえて埋めずに「埋まらないので、リフォームしましょう」または「埋まらないので売却しましょう」と、そんな提案をする悪質な管理会社は多くあります。本当に信頼できる会社や情報をしっかり共有してくれる会社が残り、自社に都合のいい情報しか開示しない会社は淘汰される存在になるでしょう。また客付けも仲介会社に頼らず自分で行うようにならなければいけません。エイブルや大東建託など、自前で管理と客付けができる会社は優秀だなと思います。最近では自前で仲介部門を持つ管理会社も増えてきました。それが理想的な管理会社だと認められるような時代に向かっていると思います。
【仲介会社】 仲介はそのうちなくなるのではないか、と感じることがあります。仲介専業の会社は情報を伝達する(仲介する)ことをビジネスとしています。今までは物件情報という価値を提供していましたが、今の時代は物件情報の開示は誰でも行うことができます。大家さんや管理会社が物件情報を伝播させる手段を持てば「転居希望者が手に入れたい希少な情報」を提供するという価値がなくなっていくように思います。管理会社が自前で集客をするという最近の潮流が社会のスタンダードになればそれこそ価値がなくなります。そんな未来が来れば「仲介会社」は生き残れないかもしれません。徐々に優秀な営業マンは管理会社から引き抜かれるようになったり、客付けを強くしたい管理会社が仲介会社をM&Aで買収するような事例も多くなると思います。ノウハウをしっかりためて自分たちの価値を大家と借主に提供できれば生き残る道もあるかもしれません。
以上が私の想像する賃貸業界の未来です。 ポイントは情報の開示です。しかし情報の開示を嫌がる業界なので、そう簡単は変わらないことも理解しています。ただ前回のブログにも書きましたが、大家と借主があってのこの業界です。大家と借主に対して誠実であればきっと打破できると思います。
ぜひとも応援のほどよろしくお願いいたします。
↓前回のブログ